2026年6月、新渡戸文化高等学校(東京都中野区)の高校生15名が、「スタディツアー」で利島村を訪問しました。
人口約300人の小さな島・利島。今回、生徒たちは、島を外から眺めるだけでは見えてこない、暮らしや産業、教育の現場に触れていきました。
島のこれからを考える村長、暮らしを支える椿や漁業の担い手、島で学ぶ子どもたち。そして、日常のなかで出会った島の人々。
『ずっとしま』では、今回のスタディツアーに参加した生徒と先生に、利島での滞在を通して感じたことや学びを綴っていただきました。 滞在レポートをお届けします。
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まずは、今回のスタディツアーでどのような学びを目指していたのか。生徒たちを引率した先生から、利島を訪れた目的を伺いました。
6月10~12日の2泊3日で、高校1年生15名が伊豆諸島の利島村を訪問しました。
本校のスタディツアーは、全国約20ヶ所に少人数で伺い、その土地の営みに入りこみ、五感で体感することが特徴です。ここでは4つの班に分かれ、村の方々と出会い、インタビューを行いました。
生徒たちは利島村で、水不足や産業の課題といった島のリアルな現実にふれるとともに、住む人々の想いや地域づくりの本質を深く学んできました。現地での「出会い」が生徒たちに何をもたらしたのか、4つの班それぞれの声を聞いてください。

南が山園地からの景色
私たちは、村役場にて村長さんへのインタビューを行いました。
私たちが「地域活性化=観光客を増やすこと」だと考えていたのに対し、村長さんは「無理に観光地化するのではなく、人口300人を維持しながら利島を本当に好きになってくれるファンを増やしたい」「若者が居続けたい、帰ってきたいと思える島にしたい」とお話ししてくださいました。現実と向き合いながら島を守ろうとする強い想いに触れ、住む人々の暮らしと豊かな自然を大切にする地域づくりの本質を深く学びました。
午前中の小中学校訪問や、午後にみんなで楽しんだボウリング場でのひととき、夜に島の方々と手作りご飯を食べながら交わした会話を通して、利島村が誇る温かさと人とのつながりの深さを、肌で実感した一日となりました。

村長室でのインタビュー
利島の名産である椿産業をより深く調べるため、椿油精油センターへのインタビューと工場見学を実施しました。
中へ入ると天井が高く、多くの機械が並ぶ魅力的な空間で、椿油ができるまでの工程を詳しく教えていただきました。他産地との差別化のために有機栽培にこだわる姿勢や、酸価(AV)という品質指標を徹底管理しているお話は非常に興味深かったです。
また、完成した椿油は郵便で運ばれるという島ならではの輸送事情や、農家さんに還元される仕組みを知り、島全体で助け合う強い絆を感じました。
実際現地に足を運び、作り手の方々の生の情熱に触れたことで、「本物を見て体感する探究学習」の大切さを深く学ぶことができました。

保育園前の横断歩道
利島の重要な産業である漁業の実態を知るため、漁業協同組合の組合長さんにインタビューを行いました。
渡島前は「漁業がとても活発な島」というイメージを持っていましたが、実際に組合長さんからお話を伺うと、近年は思うように魚が獲れていないという意外な課題や現実を知り、驚きました。お話の後は生簀(いけす)を見学させていただき、実際に育てている貝類などを間近で観察することができました。
また、この日は小中学校の訪問やボウリング場での島民の方々との交流もありました。施設の方が一緒にボウリングを盛り上げてアドバイスをくれたり、すれ違う人々が笑顔で会釈を返してくれたりして、過疎化などの課題と向き合いながらも力強く温かく生きる島の方々の魅力に心を打たれました。

利島港と宮塚山
私たちの班は利島独自の教育をテーマに掲げ、2日目は利島小中学校を訪問して授業見学や生徒・先生方へのインタビューを行いました。
学校では全校生徒の少なさや先生との距離の近さに驚きましたが、一番印象的だったのは「学校や親だけでなく、島全体で子どもを育てる」という温かい教育環境です。
生徒たちに「大人になったらまた利島に戻ってきたいか」と質問すると、最近移住してきた子も含めて、全員が「絶対に戻って住みたい!」と笑顔で答えてくれた姿がとても印象的でした。
子どもたちがこれほど自慢に思い、愛している利島の魅力を肌で感じることができ、地域と教育が密接につながる素晴らしさを実感しました。

最終日のプレゼンの様子
村長や島の産業に従事する方々、学校で教え学ぶ先生や児童・生徒、島民の方々との交流を通じ、その想いや人と人との温かい結びつきを実感した高校生たち。
スタディツアーを終え島を後にした彼らが、利島村で得た学びや気づきを今後の学校生活、そしてキャリアに繋げていくことを期待します。
これからも、自ら考え行動する力をさらに育み、多様な人々と協力しながら未来の社会を切り拓く存在へ成長してほしいと思います。
新渡戸文化高等学校

生徒が撮影した利島の夕焼け

なかよし公園で集合写真
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今回のスタディツアーを通して、生徒たちが出会ったのは、豊かな自然や島ならではの魅力だけではありませんでした。
地域活性や産業を取り巻く課題など、実際に利島に暮らす人たちが向き合っている現実。そして、その中でも島を守り、次の世代へつないでいこうとする人々の想いにも耳を傾けました。
生徒たちが利島で何に驚き、何を魅力だと感じ、どんな課題に目を向けたのか。その新鮮な視点や気づきは、島で暮らす私たちにとっても、改めて利島について考えるきっかけになるのではないでしょうか。