オオミズナギドリ~道に落ちてる海鳥? 利島の海鳥『マトリ』~

読みもの

2026.10.25

#暮らし #注目情報 #移住

夜、利島の道を走っていると、道路の真ん中に海鳥がちょこんと座っていることがあります。

利島に暮らすと、たくさんの生物を見かけます。その中でも、自然環境と深く結びつき、島の暮らしの中で身近に感じられる存在がオオミズナギドリです。島では古くから「マトリ」という愛称で呼ばれ、親しまれてきました。

マトリって、どこから来る鳥?

マトリはミズナギドリ科に分類される海鳥で、春から夏にかけては日本近海を中心とした海域で過ごし、秋から冬にはパプアニューギニアやフィリピンなどの暖かい地域へ移動します。
普段は海の上で生活していますが、繁殖期になると利島にも渡来し、山中の斜面に巣を作ります。

利島は、繁殖地として重要な役割を担っており、毎年夏になるとマトリの姿が島内各所で見られるようになります。

海では名ハンター、陸ではちょっと不器用

全長はおよそ50センチほどで、海中を潜って魚を捕る能力に優れています。

一方で、陸上での行動はあまり得意ではなく、地面から飛び立つことや着地が苦手という特徴があります。

飛び立つ際は、木や崖・壁などに登り、滑空するように飛び立つそうです。時には坂道を滑走路のように使い、助走をつけて飛び立つ姿も見られるのだとか。

一方で、着地はあまり得意ではないらしく、木の枝などにぶつかり、そのまま地面に落ちてくることもあるそうです。夜に山道を通ると、道路の真ん中でちょこんと座り込んでいるマトリを見かけることがあります。

夜、道路わきを歩くマトリ。カラスと同じ具来の大きさ。

夜の集落に現れるマトリ

夜行性であるマトリは、街灯や民家の明かりにつられて、村に落ちていることがあります。家の玄関先や道路わきでじっとしている姿を見ると、初めて島を訪れた人にとっては驚く光景かもしれませんが、島民にとっては慣れたものです。

夜道を車で走っていると、ライトの先にマトリが現れ、慌ててブレーキを踏むこともあります。、民家の近くにいたりする姿もよく見かけます。

こうした日常の中で、島の人々はマトリを身近な存在として受け止めてきました。

民家の物陰に隠れているマトリ。この後、海へ返しました。

島の暮らしの中にある自然

利島では、マトリをはじめとするさまざまな生きものが、人の暮らしのすぐそばで生きています。

地上にいるマトリは、ほかの動物や人の活動の影響を受けやすい存在でもあります。時には、猫などの動物に襲われてしまうこともあります。 

役場で行われている、野良猫への無責任な餌やりを行わないよう呼びかける取り組みや、猫の数が過度に増えないよう実施されている去勢・不妊手術は、人と動物が共に暮らしていくための取り組みであり、結果としてマトリの保全にもつながっています。

また、繁殖地である利島の環境が守られることは、マトリの命を未来へつなぐことにもつながります。利島を訪れる人にとっても、島の自然と向き合う大切な機会となるでしょう。

繁殖期に山道や集落周辺でマトリを見かけた際には、むやみに近づいたり触れたりせず、静かに見守ることも、自然環境を守る行動のひとつです。

これからも、マトリといっしょに

島に暮らす人、そして島を訪れる人、それぞれが自然への配慮を心がけることで、マトリの姿は、これからも利島の暮らしの中にあり続けます。

マトリとともにある利島の自然を、次の世代へ引き継いでいくことが大切だと感じています。

この記事を書いたのは・・・

おおいそもとき

おおいそもときさん

利島で会社経営や椿農業に取り組んでいます。島の暮らしや文化、人とのつながりの中で感じたことを、自分なりの視点で綴ります。