引っ越し先が島だと知ったとき、最初に頭に浮かぶのが「ちゃんと生活できるかな」という気持ちかもしれません。
利島に移住して10年以上暮らしてきた私の体験と共に、実際の買い物事情と、安心して暮らすための小さなコツをお伝えします。
利島には、島の人たちが日常的に利用しているお店がいくつかあります。
数は多くありませんが、基本的な食材はここでそろいます。
食材は船で運ばれてくるため、入荷日はあらかじめ決まっています。
店舗によって異なるのですが、例えば
・野菜などの生鮮食品は週の前半
・牛乳は週の後半
という感じです。
お店によっては、メッセージアプリで入荷日を知らせてくれるところもあります。
また、「〇〇はいつ入りますか?」「木曜日に入りますよ」など、店員さんと直接確認しあうことも多いです。
島の人たちは、入荷日に合わせて買い物をしています。

天候の影響で船が欠航すると、一時的に品薄になることもあります。
「今日は牛乳がなかった」
「卵は来週までおあずけだね」
そんな日も、ゼロではありません。
そこで、利島での買い物は、少しだけ考え方を変える必要があります。
たとえば、「金曜日にきんぴらごぼうを作りたい」と思った場合。
金曜日にごぼうを買いに行っても、間に合いません。
ごぼうは主に週の前半に入荷するため、遅くとも水曜日までに買っておく必要があります。
つまり、「今日食べたいものを今日買う」ではなく、「数日先の献立を考えて買う」という感覚です。
この“ちょっとのコツ”さえつかめれば、普段の家庭料理で困ることは、ほとんどありません。
そうはいっても、私が移住してきた10年前と比べると、今はずいぶん安定してきました。
お店の棚が完全に空っぽ、という場面に出会うことは、かなり減ったと感じています。

お米や調味料、缶詰などの常温保存できるものは、ネットで購入している家庭も多く、私もその一人です。
我が家では、
・2週間に1度在庫をチェック
・まとめてネット注文
という流れを作っています。
注文してから届くまでに数日かかるので、 「なくなってから買う」ではなく、 「なくなる前に補充する」のがポイントです。

子どもが小さい頃は、「栄養が足りなかったらどうしよう」「食材を切らしたら困る」そんな不安から、入荷日に大量にまとめて買ってしまっていました。
結果、在庫を抱えすぎて腐らせてしまったり、あるのにまた買ってしまったり…。
それなのになぜか「あぁ卵がなくなってしまった…」ということも起こっていました。
そんな経験を重ねるうちに、1週間分の献立を決めてから買い物をするなど、計画的にできるようになったり、もしくは、レシピを先に決めるのではなく「あるものから作り出してみよう」と考えられるようになりました。
入荷日だからといって大量にまとめ買いするのをやめ、少し先の日まで見越して必要なものを必要なだけ買うということができるようになったと思います。
意外とちゃんと食卓は回っていく。
その体験を重ねるうちに、買い物への不安は、少しずつ小さくなっていきました
生鮮食品の入荷日には、「今日は何があるかな?」と、少しワクワクします。
旬の魚が並んだり、季節の野菜が届いたりすると、ちょっとしたお祭りのような気分に。
コンビニのように新商品がずらっと並ぶことはありません。
でも、いつでも何でもそろっているわけではないからこそ、旬の食材が本当においしそうに見えてくるものです。
店員さんとの何気ないおしゃべりや、知り合いとばったり会う時間も、買い物の楽しさのひとつになっています。
確かに、食べたいものがいつでも食べられる暮らしとは、簡単には言えません。
ですが利島で暮らす中で、「食べたいものって、自分で作れるんだ」と、そんな小さな感動を味わった家庭は、きっと少なくないと思います。
ちなみに我が家は、ハンバーガーを作ったことがあり、その日は家族で笑顔が溢れました。
「今日はこれが手に入った」
「今あるもので、何を作ろう」
そんなふうに考える時間が、暮らしをゆっくり豊かにしてくれます。
最初は戸惑うかもしれません。
けれど、少しずつリズムをつかめば、利島での買い物は、暮らしを楽しむ一部になっていくと思っています。
「素朴でシンプルな暮らし、時々ちょっとのごちそう」が私にはちょうど良いなと感じている今日この頃です。