「虹」というと、非常に有名な日本のロックバンドがおりますが、フランス語の辞書で「虹」と引くと「arc-en-ciel」と出てきます。「L‘」は一体何なのか。
それはさておき、このページを開いてくださったあなたに質問があります。
あなたが「利島の名物」と聞いて思い浮かべるものは何でしょうか?
たとえばインターネットで【利島 みどころ】【利島 名物】などのワードで検索すると、まず「椿」「サクユリ」「イセエビ・サザエ」などの名産品、「イルカウォッチング」「星空」「登山(ウォーキング)」、渋いところでは「神社巡り」などのアクティビティが出てきます。
ここ“ずっとしま”にたどり着いたあなたは少なからず利島に興味をもっていただいているか、島に来たことがある人(あるいは住んでいる人)が多いかと思いますが、上記に挙げた以外のものを思い浮かべた方はいらっしゃいましたか?
ーもし、他のものが思い浮かんだなら、あなたは<利島マイスター>です。もはやこの記事を読む必要はございません。あなた自身の利島道を貫いてください。
さて、実際のところこれらの名物やアクティビティは利島を代表する素敵なものたちばかりです。
島で暮らしはじめて、かれこれ15年ほどになりますが、サクユリの季節には風のない日にむせる程に漂う百合の香りを浴びながら散歩をしたり、椿の季節には落ちた花を拾って雄しべの数を数えてみたり(ただし、途中でやめる)、同じようでいて毎年少しずつ異なる顔を見せる島の自然には飽きることがありません。
まだ体験したことが無い人にはぜひ味わってもらいたいな、と常々思っています。
だがしかし、利島の見どころはこれでおしまいなのでしょうか?
利島について興味をもっていただいている方や島に来たことがある人、時には島に住んでいる人に話を聞いてみても、なんともはやこれら以外のアクティビティが出てくることは滅多にありません。
それどころか、島との関りを重ねていく人ほど自然やものではなく「何もないこと」それ自体や、人との交流に魅力を感じていく人が多いようにすら見受けられます。
それもまた然り、利島の何もなさ(コンビニどころか信号機すらない!)は都会の喧騒で疲れたこころには新鮮に映るでしょうし、夜の6時を過ぎれば開いている商店もなくなり、自分で何かを用意しなければ強制的に「なにもしない」を迫られる環境はリラックスするには最適な環境だと思います。
でも、それだけじゃないんです。
まだまだ利島には見て楽しめるものがあるのです。
あまり知られていない利島の魅力的なもの、
それは、虹。
実は雨の後や天気雨が降っている時に探してみると結構な確率で虹が見られるのです。
一般的に虹というとこんな感じのものを想像すると思います。

これは台風一過の夕暮れ、島を二分するようにかかった大きな虹でした。
しかし、利島では雨がちの日に海を眺めていると、「こんなところに?」「こんなに近くで?」と驚くところに虹が出るのです。
たとえばこれ、

桟橋の間にかかる虹の写真です。
写真では薄れてしまっていますが、西の桟橋から東の桟橋を渡す橋のように虹がかかっています。
この日はとても長く虹が出ており、集落の上の方まで戻ってきて振り返っても、まだ虹が出ていました。

自分の目線と同じ位置、時には自分より下に大きな虹がかかりそれを見下ろす。なんて、登山が趣味の方でもなければなかなかできない体験ではないでしょうか。
それが利島では雨上がりの散歩中、ふいに視界に飛び込んでくるのです。
次はこれ、

写真には写っていませんが、見えている虹の上に一回り大きい虹があり、それが、石でも投げたら当たりそうな近い距離にかかっていて驚きました。
利島では距離感がとても近い虹が現れることがよくあり、ほんのかけら程度の虹が見えるだけでも、なんだか得をしたような気持ちになれます。
……さあ、次はどんな虹?
と、ご期待くださった方がもし居たらごめんなさい……。
写真はこれでおしまいです。
恥ずかしながら私は写真撮影が苦手で、用がなければスマホも持ち歩かない性質のショボい村民なので、虹が出ていても写真に収めず眺めるだけ、ということばかりです。
あまりちゃんとした写真がなくて説得力に欠けてしまいますが、でも、上の二枚を見ていただくだけでも、利島では本土の平野でみられるものとは一味ちがった虹を見られるということはお分かりいただけたのではないでしょうか。
せっかく島に来ても、雨が降っていては宿から出られずガッカリしてしまいますけれど、運よく雨の勢いが収まって空が明るくなるタイミングがあったなら、多少濡れてしまうのは覚悟のうえで散歩に出かけてみてください。
これまで見たことがないような虹に出会えるかもしれません。
かつて、もう10年以上前のことですが、天からほぼ垂直に海へと突き刺さる巨大な虹が現れたことがあり、この時ばかりは弥勒菩薩様が降臨する日を間違えて早く来てしまったのではないかと慌てたものです。
他にも、道路から学校を見下ろすと校庭に小さな虹がかかっていたり、時には職場で何気なく外を眺めたら空に虹がかかっていたり。利島では思わぬ所に虹が現れます。
虹を見るために島に来る、というとハードルが高いですが、島に居るときに雨に降られるようなことがあれば空を眺めてみていたら素敵な虹に出会えるかもしれません。
ところで、最後になりますが利島で見られる虹は天気雨や雨あがりに見られるものだけではないことをここに申し添えて筆を置きたいと思います。
真冬の西風がビュービューと吹き荒れ、船は欠航。島にカンヅメだし風が強すぎて外に出るのも億劫だ……。
なんて日にその虹は現れます。
もしもあなたが真冬に島へ訪れることがあり、あろうことか天気はいいのに風が強すぎて海が大荒れ! 船が欠航! なんて事態に出くわしてしまったら、ぜひ島のどこかに現れる虹を探してみてください。
ヒントはこの写真。

冬場はこんな状況が多いので船の欠航も多く、予定通りの移動は困難です。会社勤めの方など必ず予定通りに島から出られないといけない方には厳しい季節ですが、こんな時だからこそ見ることができるちょっと変わった虹も利島にはあるのです。
観光でいらっしゃる方にとっては、雨や強風など来島すること自体をを見直さなければならないような時にばかり現れる利島の虹ですが、これも利島の名物と言えるんじゃないかなぁ、と思う今日この頃です。
島には来たものの、天気が悪くてガッカリしたり、冬の西風で船が欠航し帰れなくなってしまったり。そんな時にはこの記事を思い出してください。気分転換にちょっと外に出てみるだけでも、島でしか出会えない意外な体験が待っているかもしれません。