本来の自分に出会う時——地域おこし協力隊 / 石井絵美子さん

読みもの

2025.08.13

#インタビュー #注目情報 #移住

利島村の地域おこし協力隊として着任した石井絵美子さん。

釣りやからむし織り(※)などいろいろなことに積極的にかかわる姿を見かけます。「島に来て本来なりたかった自分になっている気がする」と語る石井さん。同じタイミングで利島へ来て、地域おこし協力隊の同期として活動する小抜が、お話を伺ってみました。

※からむし織は、苧麻(ちょま)という植物から作る糸で織る伝統的な織物です。

女性の背中を押せるような仕事がしたい

小学校のころから「女性の背中を押せるような仕事がしたい!」と思っていた石井さん。

洋服のデザイナーを夢見る女性が主人公の漫画を読んで、服飾の専門学校へ進学することを決めました。課題に追われながらも忙しい日々を過ごしつつ、とても充実した学生生活を送っていたそうです。

専門学校の卒業を目前に就職活動していくなかで、考えすぎてしまったと語ります。

「おしゃれって何だろう。他人から評価される為のものなのかな。でもお金を払えばいろいろなものが買えるし、いくらでもオシャレになれるんじゃないかとか、
たくさん考えてしまい誰のために服を着るんだっけ?とわからなくなってしまいました。」

若手の頃の石井さん

そんな石井さんが就職に選んだのは、インナーウェアのパタンナーでした。

「他人に見える部分じゃないからこそ、その人の個性が出るし、メンタルにも影響する。それを着ると安心するとか、自信がつくとか、洋服をきれいに見せることができるとか。人に見せるところじゃないけど、その人に自信をつけられるっていうのが良いなと思って、これしかない!と就職を決めました。」

一つ一つを丁寧に考え行動してきた石井さんの情熱が伝わります。

利島村へ来たきっかけ

仕事で携わっていた商品の販売方法がオンラインだったこともあり、誰が買っているかわからない、サイズを測って大切に買っているかもわからない。そんな現状があったといいます。

「当時、仕事は大好きで楽しく続けていたのですが、次第に作り手として物作りの本質を考えるようになりました。
時間をかけることが価値なのか?その人のネームバリューがあるから価値がつくのか?
なによりも、安いから買う、という感覚が浸透していることに疑問が生まれました。」

そんな自問自答の中で徐々に石井さんの本質に触れる想いがあふれ出します。

「本来の自分に自信を持ちたい。責任感があることが好き。全ての過程を知れるのが楽しい。
誰かが作った流行を追い求めることより、その人自身の感じたこととか、それによってうまれた何か、のほうが興味がある。」

自分の本質のままに生きられる環境を模索し、5年前ぐらいから島に住みたいと思うようになり、タイミングと様々なご縁で利島への移住が叶ったとお話してくれました。

旅行で訪問した沖縄の離島

人の本質に触れたい。物作りがしたい。

利島に住み始めてから、徐々に関心が「人間の本質的な部分」に移ってきたと言います。

「こっちに来て本来の自分になっていってる。できることの幅が広がっていってる感じ。ここに住んでいる村民の方が自然体でラフに生活してる人が多いからかもしれないです。」

また、今まで培ってきたことを活かしたモノづくりがしたい。とも話してくれました。離島の素材を生かし、ゼロから形にするモノづくりを仕事にしたいという想いを胸に、まずは利島の伝統工芸の「からむし織り」に興味をもち、楽しそうに活動している姿も見かけます。

釣った魚、何して食べようかな

お話を聞いて、石井さんの積極的な行動の裏にある熱い想いに触れた気がしました。
この情熱でこれからどんな活躍を見せてくれるのか、すごく楽しみです。