
日本には、どれくらいの離島があるかご存知ですか?
なんと、14,120島もの離島が存在しているのです。
とはいえ、その全てに人が暮らしているわけではなく、人が暮らしている有人島は、417島。そのうち、本土と橋などで繋がっていない離島は306島です。
そして、利島が所属する東京都には、11島の有人島があります。
ちなみに、この11島は、サッカーの1チームの出場人数と覚えるのがオススメです。
この東京都の有人島11島は、なんと太平洋に南北1,000kmの広大な海域に広がっています。瀬戸内海や五島列島などに比べても、圧倒的に広大なエリアに点在しており、この立地条件が、一つひとつの島々の個性を生み出しています。
今回は、東京の島々を取材しているローカルメディア『東京都離島区』編集部の目線で、11島をデータで比較しながら利島の特徴を一緒に考えていきたいと思います。
前述の通り、東京の島々は11島あります。人口規模で大別してみると、人口が多いのが伊豆大島・八丈島、人口が中くらいなのが三宅島・父島・新島・神津島、人口が少ないのが式根島、母島、利島、御蔵島、青ヶ島。こう見てみると、利島は人口規模の少ない島のカテゴリーに大別されます。
島の人口規模によって、地域性や住民の距離感、雰囲気に違いがあることが多いです。良い悪いはないので、もし島への移住などを検討しているのであれば、自分自身の「ありたい暮らし」をイメージしてから、色々な人口規模感の島に滞在してみることをオススメします。
次に島の面積と人口との相関グラフを見てみましょう。
基本的には、面積と人口は比例することがわかります。例えば、三宅島、御蔵島、母島あたりは面積に対して人口が少なく、人口密度が低そうです。空いている土地が多いのか、人が住むことができない森林などの面積が多いのか、データだけではわからないことが多いです。
少し上級者向けですが、データから想像を膨らませて、実際に島に行って確かめてみるという楽しみ方もできそうですね。
さて、次は、観光客の数を比較してみましょう。以下は11島それぞれの年間観光客数の比較です。(オレンジ部分は上位トップ3位)
上記のグラフを見てどう思いましたか?
やはり本土に一番近く、規模も大きく、交通が発達している伊豆大島は多いですよね。逆に利島、御蔵島、青ヶ島は少ない印象です。基本的には、人口規模に比例しているように思えます。
しかし、もう少し深掘ってみましょう。以下は、人口一人当たりに換算した観光客数です。(オレンジ部分は上位トップ3位)
グラフを見て、何か気が付きましたか?
観光客に関しては伊豆大島が圧倒と思ってしまうデータでも、人口一人当たりにすると、違った見え方をします。
なんと、人口一人当たりの観光客数として見ると、式根島がダントツになります。そして、伊豆大島の次は御蔵島。このように、単純な量だけで判断せずに、人口一人当たりにして考えることで、地域が力を入れている方向性に気がつくキッカケになることもあります。
利島はというと、人口一人当たりの観光客数は比較的少なくなっています。
しかし、色々な島を巡っている東京都離島区の視点としては、利島は観光客よりも関係人口を増やすことや教育への力を入れているように感じています。事務局を作ってふるさとワーキングホリデーの受け入れに力を入れていたり、大学生との共創型プログラムを定期的に開催していたり、友好都市との交換キャンプに力を入れていたり、宿泊施設などの受け入れ体制が限られる中でも、利島に愛を持って関わってくれる人づくりを目的とした受け入れを推進している姿勢を感じます。
次に比較するのは、自治体の議員さんの平均年齢。東京の島々の9つの自治体の議員さんの平均年齢をグラフにしてみました。(オレンジ部分は平均年齢が若い3島)
利島村は、他の自治体と比べて、平均年齢約45歳と突出して若いです。必ずしも若ければ良いというものではありませんが、内訳を見てみると、20代・30代・40代・60代・70代と多年代が構成していることがユニークだと思います。あらゆる年代の声を聴き、行政に届けていくことができる議員さんがいることは、島づくりの視点として、とても重要なことです。
また、利島村の投票率は90%を超えることもあり、村民としての当事者意識の高さが伺えます。
いかがだったでしょうか?データを見ながら、組み合わせながら、比べてみながら考察してみると、地域の特徴を立体的に捉えやすくなると思います。
最後に、データを集めるのに参考になるサイトを2つご紹介します。かなり直感的にデータを扱えるようになっていますので、ぜひ活用してみてください。
●『地域経済分析システム RESAS』
resas.go.jp/
●『東京都観光データカタログ-伊豆諸島・小笠原諸島観光客入込実態調査-』 data.tourism.metro.tokyo.lg.jp/data/tosho-irekomi/